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001(言うなれば序章の一部だが)
今日、学校に着いて最初に聞いた人間の言葉は、「ねぇ、かばんは?」だった。
忘れ物の激しい方ではないはずの僕は、かばんを置いてきたらしい。
今思えば、この物語の始まった原因はこのかばんではないかと思ってしまう。
いや、実際どうなのかは解らないが。
遅刻したせいかもしれないし、階段を使って教室に向かったせいかもしれない。ひょっとしたら、僕が生まれた時から、もしくは彼女が生まれた時から、こうなる運命だったのかもしれない。
どうだろ…わかんね。
いや、ここまで説明しておいて勝手だが、やはり物語は事の発端から説明すべきだろう。
もちろんこれは漫画の話でもドラマの話でもないので、僕にとってみればこれからこの話、いや物語に終わりがあるのかは甚だ不安だが、
それでも、人間というものは悩みを話すだけで大分楽になれる、という都合のいい生き物であるらしいので、
独り言のような形で、語らせてもらいたい。
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