― 悪魔? いいえ、天使です。 ―

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 しかし、この狭い隙間に身を隠してどのくらい経ったのか。  もう諦めてくれたのかも、という甘い考えに縋りたくなるが、さすがにそこまで馬鹿じゃない。  生きて帰れる保障の無いこの現状に溜息しか出てこなかった。 「幸せが逃げるって言われてもなあ……」  小さくぼやくと今にも降り出しそうなグレーの空を見上げる。 「ん?」  鳥……だろうか。  何か大きな黒点がこちらに向かって来ている気がする。
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