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陰る月に抱いた思い
貴方は言う「君が好き」だと
温かく優しげな笑みに戸惑う心は隠せなくて
濁りきった瞳に映る一筋の光
空に舞う静かな雪がゆらり
僕の頬を冷たく濡らす
触れた指先から感じた愛情を
なかった事に出来たのなら良いのにと
皮肉に笑い道化を演じる
自分はきっと滑稽だろう…?
冷たい身体に凍てついた身体
貴方は私を抱きしめた「君を守るから」と
氷の様に頑なな心を溶かした貴方を忘れてしまいたい…
息をする程苦しくなる肺に
時節感じる冬の空気は深く
僕を突き刺す刃と変わる
揺れる瞳に上気した頬を
静かに見つめた貴方を消してしまえればいいのに
醜い思いを抱く自分はきっと穢れているのだろう?
『ただ恐かったの…』
頭の中で反響する苦痛な叫びは
僕自身を犯し壊すの
本当に望んだ事にすら見なかった事に
したかった…
でも貴方はそんな僕を許してはくれないんだね…
今はただ引き寄せられた小さな体を
緩められる事のない抱きとめる力強い腕に
愛おしく思う先の見えない願い事を委ねて
落ちては消えゆく儚い雪の様に静かに笑みを浮かべよう
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