第一章

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透き通るような綺麗な声してんなー… こんな綺麗な声生まれて初めて聞いたぜ。 「ああ…お前がジジィの言ってたガキか」 「うん。ユキって言うの」 「ユキか…お前にピッタリじゃねぇか。真っ白くて雪みてーだしな」 「雪じゃないよ!【夢】に希望の【希】で夢希(ユキ)だよっ」 夢と希望? はっ、アホらし。 「俺の名前と同じくらいアホらしい名前だな。俺は【大】きく【翔】けるで大翔だ」 「わあ!かっこいいなぁ」 かっこいい? 馬鹿言ってんじゃねーよ。 「素敵な名前だね!」 「俺は嫌いなんだよ」 「えー、素敵なのに…」 「うっせーなぁ。んなことより、お前ジジィに言われて俺んとこ来たんだろ」 「うん、ある男と一緒に七日間暮らせって言われて…」 「ってことはお前も死んだのか」 「…うん…真っ白い空間の中に神様が現れて、『お前はこの世にまだ未練があるな。未練が強い人間は天国にも地獄にも行けない。だから、ある男と暮らし、その男にお前の心に空いた穴を埋めてもらえ』って言われて…期限内に心の穴を埋めないと天国にも地獄にも行けずこの世を永遠にさ迷うことになっちゃうのっ」
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