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「で、なんすか?」
シモン先生に教室の外に連れ出されたオレは内心びくびくしながら聞いた。
「申し訳ないのですが、至急、ある魔人の討伐に向かって欲しいんです」
魔人の討伐?
なんでまたいきなり?
「少々厄介な相手なんです。〔デザート・アサシン〕といえばわかりますよね?」
魔人識別番号C-03、通称〔デザート・アサシン〕。
DDがこの前、戦ったって言ってたな。
確か、倒し損ねたって…。
頭を掻きながら、唸っていると、シモン先生が、
「討伐が成功したあかつきには食堂のタダ券一年分を差し上げ…「やります!!」
オレは制服の上にマントを着込んで照り付ける灼熱の太陽の下、これまた熱い砂の上を歩いていた。
汗がとまんねぇ。
オレは今、シモン先生の依頼を受け、ラントンの周りに広がる砂漠のど真ん中にいる。
「…あちぃ…」
思わず呟いた。ま、すべてはタダ券の為だ。
一歩進むたびに足元の砂が音をたてる。
中々、出てこねぇなぁ、魔人。
「…!?」
今、砂が流れる音がした!?
反射的にオレは振り返ると、目の前に魔人がいた。
振るわれたナイフをぎりぎりで避ける。
その魔人は簡単にいえば蟻人間だった。
いや、本当だって!
2足歩行してる蟻だ。さっき、ナイフに見えたのは、腕の一部のようだ。
オレは間合いをとる。
めんどくさいから、執行宣言はしない。
「あんた、〔デザート・アサシン〕か?」
「いかにも」
危ねっ!
随分好戦的な魔人だな。
オレは魔人の攻撃を避けて再び間合いをとり、右手の人差し指に駆動具をはめた。
「駆動術師よ、諦めろ」
随分、腕に自信があるようだな。
でも、
「タダ券、かかってんだ。諦めねぇよ!」
オレは駆動具に『ココロ』を流し込み、ARM GEARを出現させた。
「ARM GEAR【ソニックシューズ】」
オレのARM GEARは靴だ。
いや、ふざけてないって!
ま、みてな。
オレは足元に力を込め、地面を強く蹴った。
一瞬で魔人の後ろに回り込む。
音速移動。
それが【ソニックシューズ】の特性だ。
よし、悪いけど終わらせる!
「駆動術師、なめんなよ」
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