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今日は満月。月の光がなんだか気持ちいい。
わたしは軽く背伸びをしてから制服のシワを直した。そして右手の人差し指にアメジストがはめ込まれた指輪、GEARを通す。
わたしは月明かりの中、歩を進めた。ここ、ラントニアル王国首都ラントンの煉瓦が敷き詰められた道を普段の登校時とはまた違う気持ちで歩く。
先がはねているわたしの黒髪(寝癖じゃないから!)を春の夜風が撫でる。
そして突如聞こえる悲鳴。
わたしは路地の奥にむけて走った。
今回の課外授業(バイト)の内容は、この頃ラントンで(大胆にも)連続無差別殺人を繰り返す「魔人」の討伐。
はぁ~
たしかに真夜中によくでる、ていうか、真夜中にしかでないタイプの魔人が相手だから仕方ないけど…。
「…眠い…」
わたしは走りながら目を擦る。
あ、ダメダメ、集中しないと…。
と、その時、屋根の上から八つ裂きにされた死体が落ちてきた。
普通の女の子なら、悲鳴をあげて腰を抜かすんだろうけど、残念ながら、わたしは普通の女の子じゃない。
職業柄、こんなのには、なれてしまった。
さっきの悲鳴はこの人の悲鳴だったのかな…
なんて考えていると、上の方から声がした。
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