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―黒蓮*コクレン*―
ある休日のことだった。
私は絵を描くいい場所を見つけるために、空を飛んでいた。
もちろん、翼をだしてね。
はたから見たら小さい何かが飛んでるようにしか見えないだろう。
かなり高い位置にいるのだから。
(空飛べるっていいなぁ…)
私はバサバサ翼をはためかせながらそう思った。
(こんなに景色がきれいだしね)
下を見ると、浮世絵町が見渡せる。
よく見ると、妖怪さん達もちらほら見える。
人間に見つからないように道を選んでいるみたいだ。
(…大変だね…)
特に清継君に会ってしまった妖怪さんは不運だったとしか言いようがない。
いや、清継君の妖怪遭遇率は極端に少ないからそれはないか。
(あ、あれは…)
私はあるヒトを発見した。
「む?蓮花か?」
「黒羽丸さん…どうしてここに?」
「それはこっちのセリフだ……どうしてお前がここにいる?」
「あ、えと…今日は休日で学校が休みなので、絵を描けるいいばしょを探しにすこし…」
「絵を、か…?わざわざ空を飛んで…?」
「あ、はい…」
「…まぁ、いい…俺は今パトロールが終わって帰る所だ」
「あ、そうだったんですか…引き止めてすいませんでした…」
「いや、いい…本家に帰っても暇だからな…場所探し、手伝ってやる」
「…へ?」
私は思っていなかった答えに、驚いて思わずへんてこな声をだしてしまった。
「……くっくっく……」
黒羽丸さんを見ると、見るからに笑いを堪えている。
今にも吹き出しそうだ。
「くっくくく………くくっ…」
「黒羽丸さん…いっそ笑うなら笑ってください…」
「すっすまん……くくく…」
まだ堪えている。
「うぅ……」
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