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私は湖に近づいてみた。
すると、湖の底が見えるくらい澄んでいる。
「…すごい透明度……」
「…底が見えるな…あ、あれは……」
「え…?何ですか?」
私は黒羽丸さんがみている方向をのぞきこむ。
ドンッ
「ひゃっ!?」
バシャーン!
私は湖に落ちてしまった。
見ると、黒羽丸さんが笑っている。
「…黒羽丸さん……」
私は半目で黒羽丸さんをじとっと睨む。
対して、黒羽丸さんはまだ笑っている。
「くくく……本当…お前って奴は………くっくっく…」
「…ひどいですよぅ…さっきのはわざとですか…?」
「まぁ、な」
「うぅ…」
黒羽丸さんは笑いながらも私を引き上げてくれようとしている。
くいっ
「っ!?」
バシャーン!
私はそれを見計らって黒羽丸さんの裾を引っ張った。
案の定、黒羽丸さんも湖へと落下した。
「蓮花…お前なぁ…」
「おかえしですっ!」
私はプイっと顔を背けた。
「悪かったよ……しかし、まさかお前がこんなことをするとはな……」
「…な、なんですか…?」
「いや、お前は物静かなイメージがあったもんでな」
「…私だって…やる時はやりますっ!」
私は顔をムスッとさせながら言った。
「悪かった…それより……上がらないか?」
「あ、私はもうしばらくここにいます…水中の景色を描きたいですし…」
「…水中の…?」
「はい!」
「どうやるつもりだ?」
「こうです!」
私は草の上に置いていたスケッチブックと鉛筆を風でこちらへ運んできた。
「…そんなこともできるのか…」
そして私は湖から一旦上がると、身体の周りに空気を纏った。
そうしてそのまま、湖へとダイブした。
「蓮花っ!?」
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