―黒蓮*コクレン*―

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黒羽丸さんは慌てて湖を覗きこむ。 「…何をしたんだ?」 湖の中で私は空気の塊の中にいた。 いや、ボールのような空気の中にいると言ったほうがわかりやすいだろうか? 「私は大丈夫です!これなら濡れないし、息もできますし」 「そ…そうなのか…」 「はい!私はここで絵を描こうと思います」 「そうか…じゃ、俺はここで待っている」 「わかりました…暇かもしれないので…帰ってもらってかまいませんよ?」 「いや、いい」 「そうですか…?わかりました…」 私はそう言って絵に取りかかる。 湖の中はやはりとても美しかった。 色々な水草があり、色々な魚が泳いでいる。 動いているものを描くのは大変だが、私は集中してかきはじめた。 そして2時間後、私は描き終わった。 「終わった…うん、上手く描けた…かな?」 私が湖から上がると、黒羽丸さんはきちんと待ってくれていた。 「あの…終わりました」 「そうか…」 「あの…みてくれませんか?」 「あ?…いいが…?」 私は描いた絵を黒羽丸さんに見せた。 「……………」 黒羽丸さんは絵を見るなり無言になった。 「く…黒羽丸さん…?」 「…すげぇな…」 「…?」 「上手だ…」 「ぁ…ありがとうございます……」 私は褒めてもらったことが嬉しくて、微笑んだ。 「…っ」 黒羽丸さんはプイッと顔を背けた。 「どうしました?」 「い、いや…何でもない…」 心なしか、黒羽丸さんの顔が赤く見える。 (……何なんだ…あいつは) 黒羽丸は蓮花の笑顔を見て、何故か顔が熱くなるのを感じた。 「それじゃ、帰りましょう」 「…そうだな」 そうして私と黒羽丸さんは奴良組へ戻っていった。
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