773人が本棚に入れています
本棚に追加
/126ページ
喫煙ブースから出たところで村田と対面する
いつもは俯いて歩くくせに誰もいないからなのか、村田は普通に顔を上げている
だから、俺は初めて村田の顔を見ることになった
ええ??!!
意外や意外
メガネ越しでも分かる大きな瞳に長いまつ毛
少し肉厚なピンクの唇
化粧っけはないが白い綺麗な肌
俺をビックリした顔で見る
うわっ、こいつ可愛いじゃん
「ただいま」
「…おかえりなさい」
さっきまでの電話の声より低い声でボソリと呟く
視線は既に床に向いて、大きな瞳は見えなくなった
俺の横を俯いたまま歩き、さっきまで俺がいた喫煙ブースに入っていく
背中を向けたまま、タバコに火をつけるライターの音が控えめにした
また意外だ
村田がタバコを吸うなんて…
俺はちょっとした好奇心から喫煙ブースに足を向けていた
最初のコメントを投稿しよう!