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「村田」
話しかけると、あからさまにビクッって震えた
スローモーションかよってくらい鈍い動きで振り返る
上目遣いに俺を見た
「ちょっといいか?」
返事は聞かず、村田の顎を指で持ち上げた
メガネを取り上げると慌て始めるけど、無視して顔に掛かる髪に手を入れかきあげた
頬を真っ赤に染めた可愛い顔が俺を見つめてる
「可愛いな、村田」
俺はちょっとドキドキしながら素直に言った
「かっ、え?わっ」
日本語にはなってない奇声を発し、慌てふためく顔を見つめ続ける
ピンクに染まる頬を指で撫でた
また慌てふためく
俺の視線から逃れるように顔を伏せる
「あ~、隠れた。顔あげろよ」
フルフルと首を何度も振る
その仕草が子犬みたいで可愛い
揺れる髪からはシャンプーの甘い香りが鼻を擽る
「村田、名前なんて言うの?」
「真來」
聞こえなくて俯かせる顔を覗き込む
伏せた瞳を縁取るまつ毛が影を作る
「真來」
ぽってりとした唇が呟いた
柔らかそうな唇に吸い寄せられるように指先で触れる
「まぐ…変わった名前」
弾かれたように顔をあげる真來
吸い寄せられ、ぽってりした唇に自分の唇を重ねていた
思った通り、柔らかい
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