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「お~い、ユーリぃ。」
扉が開く音と同時に、声が部屋へ入ってきた。
黒髪の青年は声の主の方を見る。
「ユーリも手伝ってよ!大変なんだ!」
小さな男の子は、慌てて事件がある方を指さしている。
「へいへい。」
青年は長い髪を揺らしながら、ベットから立ち上がる。
「こっちだよ」と、男の子は急いでその場所へと走っていく。
「ったく。そんなに焦らなくてもいいんじゃねえか?」
青年はぶつぶつ言いながら、歩こうとした瞬間――。
キーン
「っ!?」
耳なりがなる。
と同時に、急に頭が痛くなる。
青年は思わずしゃがみ込んだ。
「いっつぅぅ、なんだこれ、まるで何かに押しつぶされてるみてぇだ…。」
青年は、頭を手で抑える。
キーン
赤い髪の男の子がいきなり現れ、何か言っている。青年は良く耳をすましてみた。すると…、
『扉は開かれん…。』
「!?」
声が聞こえたのと同時に頭の痛みと、赤い髪の男の子は嘘のように、スッ と消え去った。
青年は立ち上がる。
「なんだったんだ?今の…?」
青年は周りを見渡す。が、何もなかった。
「何か物が当たった訳でもねぇな。」
また扉が開く音がする。
「もう、ユーリ!なにやってんだよ!早く早く。」
「へいへい。」
青年はため息をついて、男の子について行った。
(何だったんだろうな…。赤い髪の男の子…だったな。)
青年は空を見上げて心で呟いた。
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