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ドスッ、ドスッ、ドスッ、ザザー、バタンッ
静かな森で、木こりによって木が切られる。
木こりは、ヒモを木に巻き付けて、それを引きずりながら歩いていく。
やがて小さな小屋が見えてきて、その小屋に木を置く。
「あっ!プレセアお姉さん、お帰り。」
小屋から出てきた少女は木こりに手を降った。
「…ただいま、アリシア。」
木こりの少女は手を振り返す。
「お姉さん、疲れたでしょ?お茶にしましょ。」
そう言って妹は姉の手を掴んで小屋へ入っていく。
姉はイスに座り、妹はお茶を持ってくる。
「はい、お茶とお菓子。」
「ありがとう、アリシア。」
妹は ふふっ、と笑顔になる。
姉はお茶を飲もうと、コップを口に運んだ。
しかし…。
パリーンッ
コップの割れる音が小屋に響き渡る。
姉は激しい頭痛に襲われ、地面に仰け反る。
そんな姉を見て、妹は急いで姉に近寄る。
「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!どうしたの?頭、痛いの?」
妹は姉を支えた。
「頭が…張り裂けそう…」
姉は両手で頭を押さえる。
(凄い痛そう…ただの頭痛じゃないよね?…なにがお姉さんを…?)
妹は必死に姉の症状を探るが、どの病名にも当てはらない。
「うぅ…あぁぁっん」
ドックン…
「っ!?」
『扉が開かれん…』
「え?」
姉は顔を上げる。そしてすぐ妹の方を向く。
「アリシア!い…今、今 声しなかった?あと、赤い髪の男の子が居なかった?」
姉は恐る恐る聞く。
しかし、妹は
「声なんてしなかったし、なにより男の子が居る訳無いじゃない。」
それもそうか。と姉はため息をつく。
妹は はっ、と気が付く。
「そっ、それより、頭大丈夫なの?」
姉は頭に手を添える…。
…
……あれ、痛くない。
「なんとも、ない…。」
「嘘!?だって今まであんなに痛がってたよ?」
妹はビックリしている
「私もビックリ、です…。」
「でも、プレセア姉さんに何にもなくて良かった!」
妹は満面な笑顔になる。
姉も笑顔でそれに答える。
(あれは、なんだったんでしょうか…扉がどうとか…気になります。それにあの男の子…。)
心の中はあの男の子の事でいっぱいだった。
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