5人が本棚に入れています
本棚に追加
座ってすぐ頬杖ついて、つまらなそうに窓を眺める。
一体何が不満なのか知りたくもないがな。
男子生徒達はその顔に勝ち誇ったような笑みをそれぞれ浮かべている。
確かにこんな万年欲情している男子ばかりのクラスじゃ不満になるだろうね。
休み時間になると予想的中率百パーセントでクラスの連中がこぞってラクセリアの席に集まった。
当の俺は前の席なので、わざと迷惑そうな顔を浮かべて席を立ち、屋上にいの一番で避難した。
教室を出る時、横臥がメモ紙とカメラを持ってラクセリアの至近距離に近づいていたのを見なかったことにしよう。
「よう、我が従順なる使い魔の嵯峨楓」
避難する場所は慎重に選ぶべきだった。
どこからともなく聞こえたアニメ声。
生徒会長の霧島芽衣。
彼女の気配を察知した瞬間、
ふぁさぁ! という音と共に視界が暗くなる。
同時に首周りに生暖かさと柔らかい感触が伝わり何が起きたのか理解する。
どうやら俺は芽衣を肩車しているらしい。
スカートの中に頭を突っ込むというオプションセットで。
「うわぁぁ!」
思わず芽衣を投げ飛ばそうとするが、中々の脚力らしく外れない。
「ふふ。私の依頼はちゃんと遂行しているかな?」
「してるから! とりあえず離れてください! こんなところ誰かに見られたら……」
「ん? 残念、もう少し楽しみたかったのだが」
途端に視界が明るくなる。
同時に……
「あんたってそういう趣味の人?」
目の前にラクセリアが立っている。
冷ややかな視線を向けて。
俺の後ろにはププっと笑いを堪えている芽衣。
大人しく離れたと思ったらこういうことか……
この状況を冷静に分析……できるかぁ!
「ち、違う。これは生徒会長にハメられ」
「確かに。見事なまでにハマったな。しっぽりと」
いらんこと言うな!
ラクセリアの表情が見る見るうちに険しくなり、
「不潔……」
そう一言言い捨て屋上を去って行った。
しかしあの群がる生徒達から抜け出してこれたものだ……
などと感心してる場合じゃない。
「あのですね!」
「あの子欲しいなぁ。決めた! あの子を生徒会に勧誘しろ! 『命令』ならぬ『芽衣令』だ」
「無茶苦茶です。今の状況でどう勧誘しろと」
てか芽衣令って面白くない。
「もし成功したら誤解を解いてやる」
最初のコメントを投稿しよう!