第一話『バニシングクリムゾン』

13/21
前へ
/25ページ
次へ
 ぼしゅっ!  顔の温度が臨界点を突破したのか、先程よりも真っ赤な美琴は顔を背ける。  姉といい妹といい、異性にベタベタと肌を触らせ過ぎではないだろうか?  なにわともあれ俺は起き上がり、 「ありがとうございます。寝込みを守って頂いて」  俺が眠っている間片時も離れず、ずっと刀を握りしめていたのだろう。  美琴の顔に少し疲労の色が伺えた。 「べ、別にお前の為ではない。これも鍛練の為だ」  恥ずかしそうに美琴は観客席を飛び出して行った。  美琴の後ろ姿が見えなくなるまで暫くその場を眺め、 「……何でもいいが、戸締まりどうするんだ?」  誰もいない観客席で一人ツッコミをして帰った。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加