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◇◇◇
清々しい朝ってのは中々ないものだな。
宝くじを二千円分買って百円しか当たらないという低確率と同等か、生肉を食べて食中毒になる確率ぐらいか(これってどれくらいの確率?)
むしろ死んでしまのではないか?
そんなくだらない空想を思い浮かべながらベッドから起き上がる。
忌ま忌ましい生徒会長の依頼がなければ、今でも平凡平穏平和的高校生活を送れていたはずなのに。
オマケに転校生に変な誤解を与え変態を見る目で見られてしまうのはどうかと……
しかもそんな転校生を生徒会に勧誘するだなんて。
完全無欠のコントラクターと闇社会で名が通っていた俺でもハードな仕事だ。
てかハードルあげたのはあの芽衣悪(めいわく)生徒会長だけどな。
初めての憂鬱感だ。
こんな時、昔の俺はどうしていただろか。
いや、初めてなんだからどうするもこうするも無いだろう。
ま、無理なら無理で諦めて……いや、俺の無実の罪を写した写真の問題がある。
ラクセリアへの誤解も解いてもらわないと。
というわけで、俺は違う意味での諦めを胸に制服に身を包んだ。
学校に通学する途中、珍しく横臥に出くわさなかった。
まあ寂しいかと聞かれたら「スゲー嬉しい」と答えるだろう。
家から出て歩いて数分の十字路のところで俺は足を止めた。
この先まっすぐ行けばいつもの通学路である国道に出る。
しかし、右の通りでは何やら見覚えのある女子生徒が数人の男達と口論しているではないか。
面白そう。
俺の悪い癖だ。退屈な毎日に嫌気がさして、そういうくだらない好奇心に振り回された挙げ句面倒に巻き込まれたのは二日前。
見知らぬ人間だったら放っといていいだろう。
しかし女子生徒は昨日転校してきたばかりのラクセリアだった。
もう少し近づいて会話を聞いて見る。
「あんた達みたいな時間を無駄にしているようなカスに興味なんてないわ!」
男三人を前にして随分と強気だと眺めていると、男の一人が噛んでいたガムをその場に吐き捨て、
「よう嬢ちゃん、随分と舐めた口きいてくれるじゃん。言っておくけど、俺らめちゃくちゃ喧嘩強いよ?」
そういうともう一人のニット帽をかぶった男が鋭く睨みつける。
「まさか連れを待ってるとか? 残念だけどそいつは来たら殺しちゃうよぉ」
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