プロローグ

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 俺にとっての“清々しい朝”になるはずだった……  目の前で踏ん反り返っているツインテールの少女を見るまでは。  詳細に言うならば、“デスクの上に両足を組んで乗せ、両腕を組み蔑むような瞳の少し大人を気取った腐女子代表”に呼び付けられるまでは。 「朝から何でしょう。俺は忙しいんですが」 「嵯峨、生徒会長直々に、またお前の飼い主の血縁者である私が直々に呼んでやったのだ。少しは喜んで手土産とか持って来るのが常識だぞ」  風見ヶ丘学園生徒会長の霧島芽衣。  学園創設者の孫にして霧島財閥の令嬢。霧島から派生した九里坂財閥の令嬢である九里坂悦子の従姉妹である。  九里坂悦子は楓のアルバイト先の社長でもあるが後の話。 「貴女の喜ぶような好みの手土産なんて知りませんし興味は無い」 「ギャルげー並びに同人誌、可愛い女子」  こちらの予想通りの答えを返してくる名ばかり生徒会長。  腐女子代表取締役のジョブを喜んで差し上げましょうか?。  必要称号は二次専ということで。必要アイテムは観賞用・布教用・保存用の三連技が使えるスリースターズで決まりですな  なんて、馬鹿げた話に俺は付き合うつもりはない。  いっそのこと『逃げる』を十一回繰り返し、会心の一撃でも食らわせればいいのだろうか?  まぁ、そんなアナログ時代の裏技やチェーンソー一撃とか、はたまた玉ねぎフル装備で挑んで倒せるならとっくにやっているだろうさ。  従姉妹の表の顔が警視庁のトップエリートじゃなかったらな。 「欲しいなら自分で買って来てください。それより話って何ですか?」  この話題が不毛な会話になると踏んだのか、諦めた意味も込めた嘆息をつき、 「生徒会に入れ」 「断ります」 何が悲しくて生徒会なんぞ入らなければならないのか?  この学園の面白いところの一つである生徒会のシステム。  生徒会長を選ぶ手段は選挙のみ、その他の役員は立候補から始まり、立候補された中から生徒会長が独壇と偏見で決めるという独裁的発想の下行われている。  霧島芽衣は今年の春に外国から帰ってきた帰国子女で、帰国早々に現生徒会に対してリコール請求をするという大胆な行動を起こした。
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