プロローグ

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 あの手この手を使って解職に追い込み、裏で理事長の孫という特権を利用して票を集めるという横暴を行っていたなんて噂が飛び交っていたが、真相なんていくらでも捩曲げられるのさ。  リコールってそんなに流行ってるのか?  市長や市議会に車のリコールの次は生徒会。  俺は目の前にいる霧島芽衣の存在そのものをリコールしたいね。  その場合は誰に出せばいいんだろうか?  神様か? 神様がこんな小悪魔なぞ作るわけないよな。  悪魔か? きっと悪魔も突き返されても迷惑だろうね。  そんなことを脳内で思考していると、俺の顔面に生暖かいものが投げつけられた。  柔らかく肌触りのよい絹で出来たフリフリのついた三角形の布…… 「な、突然何するんですか!」  別にこんなもので欲情するわけでもないが、一応一般的な反応をとってみる。 「プレゼントだ。もし生徒会に入った暁には、副会長兼、結婚前提で付き合ってる彼氏のポストをくれてやろう」 「うれしくない。全くもって不愉快かつ危険極まりない条件ですね。全身全霊でお断りします」  俺の言葉に驚く風見ヶ丘ジャイアンの芽衣。  それはそうだ。  抜群のスタイルを際立たせるミニスカとニーソックスの組み合わせに絶対領域のオプションセット。  更にDカップを強調した丈の短いワイシャツにブレザーのオプションセットはへそ出し。  透き通るような白い肌にブロンドの髪と整った輪郭の美しい顔。  おまけに霧島財閥の令嬢と聞いたら、世の中の男だったら誰しもが付き合いたいと思うだろう。  あくまで俺以外の男ならな。  別に女に興味がないとか男が好きだと言うわけではない。  俺が申し出を断ったのは霧島芽衣という人間に興味がないだけだ。 「強がるな。本当は私を今でも抱きたいくせに。スカートの中は今は丸出しだぞ、ほーれ」  今にもデスクの上に上げた両足を開こうとしている。  勘弁してくれ。そんなの見た日には昼飯がまずくなる。  ここで俺は一先ずこの行動を止める手だてを考える。 「何故俺なんですか?」 「ごく平凡な成績で、運動神経も平凡で冴えないアンチカリスマ的存在だから、私を引き立たせる役に立つから」 「貴女も全校生徒の敵でアンチカリスマすけどね」  皮肉を言うったつもりが、怒るどころか笑みを浮かべている。
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