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「……現金なヤツだな、文字通り」
魔理沙は左手で、三つ編みにした金髪を指で弄りまわす。
右手のほうは、がっちりと握手という面目の捕縛を受け、塞がれているのだ。この博麗 霊夢に。
「ね、お願いだから」
霊夢は、両手を合わせて魔理沙に懇願する。
煮詰まった彼女の経済状況ならば、まぁ致し方なしともいえるが。
正直なところ、魔理沙は後ずさりしたくなった。それだけの剣幕なのだ。
「わーったわーった。だがな、私は参加を強制した訳じゃない。
あくまで、情報を提示しただけだからな。何かあっても文句は受け付けん」
億劫そうに、魔理沙は言った。
すると、ぱぁっと霊夢の瞳に輝きが灯る。
「何かって、身体を売ったり?」
「……無いとは、言い切れんな」
霊夢の問いに、魔理沙は数秒詰まってから言葉を発す。
だがむしろ、その言葉に霊夢は。
「最高のアルバイトじゃないの」
嬉々とする霊夢を尻目に、魔理沙は微か笑う。
失念していたか、コイツを金で釣れば、怖いもの知らずの悪女にだって変貌するものな。
魔理沙が孕む微笑が、少しばかり闇を帯びる。
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