一章

3/4
前へ
/153ページ
次へ
斎「俺は務めを果たすべく動いたまでだ。……あんたと違って、俺に戦闘狂の気は無い」 ?「うわ、ひどい言い草だなあ」 まるで僕が戦闘狂みたいだ、とその人は笑う。 斎「……否定はしないのか」 キン!! 杉「………何するんだ?」 ?「へ―………よく受け止められたね」 急に斬りかかってきた。 杉「そりゃどうも」 ?「……運のない奴だ」 杉「は………」 私の後ろから突きつけられた、白銀にきらめく刀の切っ先。 ?「いいか、逃げるなよ。」 杉「チッ」 チャキ 彼はあっさりと刀を鞘に戻した。 ?「あれ? いいんですか、土方さん。この子、さっきの見ちゃったんですよ?」 土「……いちいち余計なこと喋るんじゃねえよ。下手な話を聞かせちまうと、始末せざるを得なくなるだろうが」 土方に斎藤って新選組じゃん。 ?「この子を生かしておいても、厄介なことにしかならないと思いますけどね」 土「とにかく殺せばいいってもんじゃねえだろ。……こいつの処分は、帰ってから決める」 斎「俺は副長の判断に賛成です。長く留まれば他の人間に見つかるかもしれない」 土方は不意に顔を歪めると、苛立たしげに他の二人をにらみつけた。 土「つ―か、おまえら。 土方とか副長とか呼んでんじゃねえよ。伏せろ」 ?「ええ―? 伏せるも何も、隊服着てる時点でバレバレだと思いますけど」
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

570人が本棚に入れています
本棚に追加