きのはなし

3/3
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「ねぇ、おじいさん。この大きな傷はどうしたの?」 『これはな、昔ここで戦があったときにできた傷じゃよ』 「いくさ?」 『そう、戦じゃ。今、ここは静かで平和じゃが、昔はここで大きな戦いがあったんじゃよ。』 「痛い?」 『そうじゃのう。あの時の事を思い出すと心が痛くなるのぅ。』 「心?痛いの?…じゃあちょっと待ってて。」 女の子がとことこ走って一度家に帰り戻ってくると、手には絆創膏を持っていました。 そしてその傷にペタッとはりました。 「もう痛くない?」 『フォッフォッ。もう大丈夫じゃ。ありがとう。』 小さな絆創膏はそうして大きな傷にはられました。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!