届かぬ声

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「…………あ!」 飛鳥の言葉に、大和は思い出したように声を上げる。 「あの孫の話してたじーさんか……」 謎の言葉と独特の笑い声を残し、去って行った老人。 彼は確かに、鬼という言葉を口にしていた。 「えっと……なんでしたっけ?確か『鬼は暗雲を連れ…空を喰らい、全てを奪う』……?」 「……それだ」 考え込んでいた浅葱が顔を上げた。 それに吊られて三人も浅葱を見る。 「鬼はあいつで……暗雲を操って空を覆って……ちこちゃんの全てを奪うってこと?」 紅葉が首を傾げながら唸ると、浅葱がそれに頷く。 「おそらくな。つまり、あのじーさんは最初から全部知ってたってことだ」
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