届かぬ声

47/58
前へ
/221ページ
次へ
* * * * 「つまり整理すると、」 一通りちこの話を聞いた後、浅葱は話を要約する。 「おじいさんに助けてもらって可愛がられていたちこは、障子張り替え用の糊を食べておばあさんに舌を切り取られた。 逃げ出したちこを追いかけて、おじいさんは山の奥の雀の住みかまで来た。 今までのお礼にと、料理や踊りでもてなして、小包を渡して帰ってもらうつもりだったが、小包が鬼に盗まれてしまっていた。 おじいさんは小包をもらわず、そのまま帰った。 小包はなんとか取り返したものの、渡すタイミングを逃してしまった」 ちらりとちこを見ると、1つ頷いた。 それを確認すると、また話に戻る。 「おじいさんの家に届けに三日間通ったが、何故かおばあさんしかいなくて、諦めてそこらじゅうを探し始めた……と」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加