届かぬ声

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「おっ、おぬしら、無事戻って来たんじゃのぅ」 「あんたは……!!」 「ふむ、あいつはやられたようじゃのぅ……少し甘く見ておったか」 洞窟から出た一行を迎えたのは、例の怪しい老人だった。 既に鬼の能力――天候を操る力は解け、空は晴天だ。 「あんた……何者だ」 刀の柄に手を置き、浅葱は鋭い視線を向ける。 各々も既に武器に手をかけている。 「カッカッカ、まぁそう警戒しなさんな。今はおぬしらに手出しはせん」 「今は……だと?」 「まぁ、縁があればまた会うじゃろうて」 そう言うと同時に、老人の体が少しずつ透けていく。 「おいっ……」 「あぁ、最後に」 浅葱の叫びを遮り、老人が話す。 「もう1つヒントをやろう」 老人人差し指を立てると、ちこに向けて言い放った。 「詰まったら、始めからやり直せば良い。それじゃあな、カッカッカ」 耳に残る笑い声を残して溶けるように消えていった。
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