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「くそっ……」
「結局何もわからずじまいか……」
「まぁまぁ、きっとまたすぐ会えますよ」
浅葱と大和が悪態をつくと、笑顔で宥める飛鳥。
それよりも、と続ける。
「まずはちこちゃんですよ」
飛鳥につられてちこを見れば、何やら紅葉と話している。
「紅葉、ちこは何だって?」
「うん、もう一回おじいさんの家に戻りたいんだって」
「まぁ、最初からやり直せ、ですもんねぇ」
「んな簡単に行くもんかねぇ」
大和が困ったように頭を掻く。
「んなこと言ったって今はそれしか手掛かりがねぇんだ。急ぐぞ」
踵を返した浅葱に続く三人の後ろで、ちこは既に膝まで消えかかっていた。
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