届かぬ声

52/58

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
現在、浅葱たち五人は土を固めて造られた道を駆けている。正確には足を動かしているのは四人で、ちこは大和に抱かれている。 ちなみに小包は紅葉が預かっている。 ちこ曰く、おじいさんの家までは徒歩で3、4時間かかる距離らしく、それではちこの消失までとても間に合わないと、慌てて駆け出したわけである。 走っては休み、走っては休みを繰り返し、一時間半程経った頃、前方に村が見えてきた。 「ちこ!あれか!?」 頷くちこを確認し、浅葱は更に走るスピードを上げた。 「急ぐぞ!!」 ちこは腰ほどまでしか残っていない身体を見下ろし、大和に掴まる力を強めた。 程なくして村に到着し、息を整える間もなくおじいさんの家を探す。 ちこの指差す方向に従い、村の中を駆けた。
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加