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「いるみたいだな」
まだ肩で息をしている大和が安心したように言った。
しばらくして、一人の老人が顔を覗かせた。
おそらく、この人がちこの言っていたおじいさんなのだろう。
「おお、あんたは……!!」
老人はちこを見た途端、浅葱たちには目もくれず、小包を差し出すちこを抱き締めた。
目を見開くちこ。
不思議なのだろう。
人間の姿でわかるはずもないのに、自分を抱き締めている老人の行動が。
「ああ、無事だったんだねぇ……!!良かった、良かった……!!」
「…………っ!!」
だが、そんなことはどうでも良くなった。
ちこの大きな瞳から、涙が溢れ出す。
「あんたの住みかまで行った時も……あんたには会えなかったから……心配してたんだよ……」
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