届かぬ声

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小包などに目もくれず、自分を抱き締めてくれたこと、ずっと自分の身を案じていてくれたこと。 嬉しくて嬉しくて、涙を止めることが出来なかった。 「隊長……ちこちゃんの足が……」 「ああ……」 少し後ろで抱き合う二人を見ていたところ、紅葉が浅葱の裾を引っ張った。 ちこの足元に光が収束し、足を象っていく。 「物語が戻った……!」 「これで任務完了ですねぇ」 涙を止めたちこが、浅葱たちの下へと歩み寄る。 その後ろに老人も続いている。 「あんたたちが、この子を連れて来てくれたのかい?」 「ああ、まぁそんなもんだ」 「ありがとう……!本当にありがとう!」 深く頭を下げる老人の横でちこもそれに習う。 「いやぁ、俺らはそんな大したことしてないって」 照れたように頭を掻く大和の傍らで、飛鳥と紅葉はちこの前にしゃがんで視線を合わせた。 「ちこちゃん、おじいさんに会えて良かったですね」 「これからも仲良くね!」 二人の言葉を聞いて、ちこは満面の笑顔で頷いた。
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