10人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
波に広がる艶のある長い黒髪、珊瑚の髪飾りに、真珠の首飾り、うぐいす色の着物。
そして、その裾からのびるのは人間の足ではなく、魚のような尾ひれだった。
「あ……」
あんたは、と言おうとして、浅葱は慌てて口を閉じた。
海水が口に入ってきたからだ。
それを見て、女はクスクスと笑う。
「話せませんよね?こちらをどうぞ」
そう言って差し出された女の手には大粒の真珠が四つ。
飲め、と言うことなのだろうか。
一粒ずつ摘まんで顔の前まで持っていくと、女が一つ頷いたので四人は顔を見合せ、同時に飲み込んだ。
すると、すぐに呼吸ができるようになる。
最初のコメントを投稿しよう!