綺麗なバラには刺がある

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「いや、おもてなしはいいから。協力ってなんの……」 「皆様は何の料理がお好きですか? あら、飛鳥様、お味はいかがでした?」 「美味しかったですよ」 既に食べ終えている飛鳥に尋ね、飛鳥は飛鳥で笑顔で返す。 「いやだから、協力って……」 「紅葉様? どうかされました?」 箸が止まっている紅葉に、またもや乙姫が尋ねる。 すると紅葉がぼそりと答えた。 「……ニンジン嫌い」 「それは失礼しました! 晩餐には取り除かせますので……」 「聴けよ!!」 痺れを切らした浅葱は、勢いよく立ち上がった。 「晴樹様……? 何か、お気に召さないことでもありましたでしょうか?」 心底不思議そうに首を傾げる乙姫に、浅葱は思わずため息を漏らした。
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