綺麗なバラには刺がある

9/25
前へ
/221ページ
次へ
人魚を見送った乙姫は、額に手をやり、溜め息をつく。 「すみません、皆様。騒々しいところを……」 「大丈夫なのか?」 すかさず大和が尋ねると、乙姫は苦笑した。 「あまり大丈夫、とは言えないかもしれません。これから私も出るつもりです」 「出るって……まさか外へ?」 紅葉が眉をハの字に曲げると、乙姫は一つ頷いた。 「そこで、皆さんにお願いがあるのです。申し訳ありませんが、状況説明する時間がなくなってしまいましたので、詳しいことは省きます」 一旦言葉を区切ると、乙姫は四人を見回してから口を開いた。 「単刀直入に言うと、私と一緒に来ていただきたいのです」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加