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「だからといって、城主に出て来られては……!!」
「いいのです。私が出なければ、あちらも納得しないでしょう」
迫る人魚を制し、乙姫は男の人魚に目を向けた。
「やっと来たか、乙姫サマ」
「久しぶりですね、桐生」
「俺は度々会いに来てたんだけどな。毎回門前払いとは、さすがの俺も堪えるぜ。なんせ愛するものに会えないんだからよ」
「冗談を。あなたが愛するのは私が持つモノでしょう」
「ははっ!わかってんじゃねぇか」
皮肉に応えず淡々と受け応えする乙姫に、男の人魚ーー桐生は犬歯を剥き出しにして笑った。
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