綺麗なバラには刺がある

14/25
前へ
/221ページ
次へ
「……あなたはそんなことを言うために来たわけじゃないでしょう。目的はなんですか?」 凛とした姿勢を崩さない乙姫が気に食わず、桐生は一度視線を横に投げる。 「わかってるくせに、白々しいな。……あれを渡せ」 「やはり、目的はそれですか。ーーお断りします。あれは、あなたたち如きが扱えるものではありません」 乙姫のその言葉で、桐生のこめかみがピクリと動いた。 「言ってくれるじゃねぇか」 「事実を述べたまでです。わかっているでしょう?あれを扱えるのは、竜宮城が城主、この乙姫のみ。あなたの発言は、傲慢でしかありません」 「お飾りの姫様が言いやがる。俺だって自分が扱えるとは思っちゃいねぇ。だがあの方ーー珱姫様なら別だ」
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加