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「……あなたはそんなことを言うために来たわけじゃないでしょう。目的はなんですか?」
凛とした姿勢を崩さない乙姫が気に食わず、桐生は一度視線を横に投げる。
「わかってるくせに、白々しいな。……あれを渡せ」
「やはり、目的はそれですか。ーーお断りします。あれは、あなたたち如きが扱えるものではありません」
乙姫のその言葉で、桐生のこめかみがピクリと動いた。
「言ってくれるじゃねぇか」
「事実を述べたまでです。わかっているでしょう?あれを扱えるのは、竜宮城が城主、この乙姫のみ。あなたの発言は、傲慢でしかありません」
「お飾りの姫様が言いやがる。俺だって自分が扱えるとは思っちゃいねぇ。だがあの方ーー珱姫様なら別だ」
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