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「魚相手って難しいなー」
「手こずってるんですか?木暮さん」
「誰が!」
いつの間にか紅葉の背後に移動していた飛鳥が軽口を叩く。
負けじと言い返す紅葉だが目線は変えず、手は休めない。
そらは飛鳥も同様だ。
背中合わせでなんだかんだ共闘している二人だが、いかんせん数が多い。
周りを取り囲む敵との距離が段々となくなっていく。
と、そこへ飛鳥側からこちらへ泳いでくる大和が見えた。
「おーい!紅葉ー!飛鳥ー!加勢しに来たぞー」
「大和兄!」
紅葉が笑顔で後ろを振り返った瞬間、一際大きい鮫が紅葉を足から飲み込んだ。
「木暮さん!?」
「紅葉!!」
二人が攻撃しようとした時には、鮫は魚の群れの中に姿を眩まし、代わりに魚たちが一斉に襲いかかる。
「くっ……!」
「紅葉ぃーー!!」
二人が鮫を見失った瞬間、桐生の声が響き渡った。
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