綺麗なバラには刺がある

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「私はすぐに亀に頼み、玉手箱を回収させました。そして妹を問い詰めたのです」 もともと玉手箱は厳重に保管されているため、竜宮城内でも持ち出せるのは乙姫か、その妹しかいなかったようだ。 「妹は笑って言いました。あれは本物なのね、と。……背筋が凍るような笑顔でした」 「悪者が本性を表したんですね!」 「黙ってろ飛鳥」 どこか楽しげに言う飛鳥に、浅葱が睨みをきかせた。 「私は彼女を罪人として捉えました。しかし、3日ほど経ったある日、一番の臣下、桐生とその一味と共に脱走を図り、見事に逃げおおせたのです」 「それで、今の状況に至るって訳か……」 「はい。妹の名は珱姫。先程の桐生や人魚、魚達を従え、度々この城に侵略してくるようになりました」
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