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「玉手箱を狙って、か。その珱姫の目的は?」
「わかりません。ただ、良くないことを考えているのは確かです」
「そうだろうな。やつらの拠点はわかってるのか?」
「ええ。ここからかなり離れた、竜宮城の離宮です。正確には元竜宮城ですが」
「敷地内とは、そりゃまた随分と近場だな……」
浅葱が髪をかき乱すと、飛鳥が尋ねる。
「ちなみに、玉手箱は今どこにあるんですか?」
「それが……」
乙姫が困ったように視線を下げた。
「まさか、失くしたとか!?」
「いえ、違います!在り処はわかるのですが、手元にない、といいましょうか……」
驚いた大和に慌てて訂正するも、再び視線を彷徨わせる乙姫。
「つまり、どういうことだ?」
「亀に玉手箱を回収させた後、玉手箱の隠し場所を変えたのです。珱姫に見つからないように、と。その場所が……」
「おいおいまさか……」
浅葱が苦笑しながら尋ねる。
その頬には冷や汗が滲んでいるのが見て取れた。
「はい。その離宮なのです」
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