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荒野に二つの影が見える。
「なぁ。消されたって記憶がか?」
ガルが気まずそうに聞いた。
「あぁ」
少し無愛想に答える炎零はガルの方へ向こうとしない。
「まぁ、大方…」
足止めだろうと続けようとした炎零は言葉を止めた。
どうしたことかとガルは炎零の顔を見上げた。
目を細めて一点を見つめている。
ガルもその視線に続いた。
荒れ地続きの地平線から何かが走ってくる。
相当の速さで近づいてきながらその何かは必死に叫んでいた。
「…てぇぇ!!」
初めの方が全く聞こえないので何がなんだかわからずに二人は顔を見合わせる。
さらに近づいてきたとき、その姿、声は明確になった。
金髪で髪を二つに結っていてガルより背が小さい女の子。
「どーいーてぇぇぇ!!ってか逃げてー!!」
その言葉の理由がわかったガルは顔をひきつらせた。
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