宝探しと

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「なんかおかしい」 なにを言い出すのかと思えば、とリラは驚いた。 「え?」 とりあえずガルの言葉に思わず聞き返した。 「だってさ、ダイヤが宝だなんて言ってたか?」 主催者は確かに言った。 宝を探せ、と。 リラはハッとする。 「宝なんてダイヤより価値のあるものかもしれないだろ?」 挙げ足をとれば確かにそうだ。リラはいつものように目を輝かせてガルを見ている。 「なるほど!ガルすごい!!…じゃあ、番人って書いた方に入るのかな?宝を番人が守ってるとか?」 ガルの考えに感動しながら井戸を覗きこむが何も見えない。 相変わらず罵声は聞こえるが。 「わからない……番人は番人でも何を守ってるのか……もしかしたら価値がないものかも……」 ガルは???と書かれた井戸を覗き込んでみた。 「でも価値がないものを守るなんてあるの?」 リラも???と書かれた井戸を覗き込んだ。 暗すぎて吸い込まれそうだ。 その時だった。 「せいかーい」 「!!」 突然後ろから聞こえた子供のような声に瞬時に振り向いた。 さっきまで探していた大会の主催者がいつの間にか二人の後ろに笑顔で立っていた。 だが姿を確認できたのも束の間。 主催者の両手によってガルとリラは井戸の穴へ倒れ込む。 いきなりすぎて抵抗する暇もない。 気持ち悪い浮遊感が二人を襲う。 「なっ……」 「きゃぁ!!」 二人は暗い空間へとまさに吸い込まれるように落ちていった。 思わず主催者は口元を緩ませる。 「だって、価値のあるものだと思って守ってたのが全く無かったりするかもしれないしねぇ……」 ガルたちが落ちたのは???と書かれている井戸。 見下ろすがもうなにも見えない。 「まぁ、全ては屁理屈だよ」
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