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炎零は腕組みをしながら噴水の近くのベンチに座り込んで二人を見ていた。
天気がよかったのでウトウトしていた。
だが突然の展開に思わず目が覚めてしまう。
さっきまでウトウトしつつもなんとか目で追っていた二人が何者かによって井戸に突き落とされたのだ。
「チッ……」
小さく舌打ちをしてから炎零はまさに風のごとく井戸へ向かった。
そして中に入ろうと井戸に手をかけたとき、鋭い殺気が炎零を襲う。
突然危機を感じ顔をあげると前には人の足。
炎零めがけてつま先が寸分狂わず向かってくる。
「っ!!」
掛けていた両手の逆方向に力を入れて瞬時に後方に飛び退いた。
「すみませーん」
蹴りを入れてきた張本人、主催者がゆらりと炎零に近づく。
「誰だお前は……っ」
炎零が構えるより先に、主催者は炎零の半歩手前まで詰め寄った。
まさに一瞬の出来事。
「なっ……」
主催者は口元だけを緩めた。
「途中参加は認めてないんだ。……ご了承を」
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