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あれから数分、二人はようやく井戸の上に手をかけた。
「ふぅ。あれ?炎零は……」
散々話のネタにした本人を探すが辺りを見回しても見当たらない。
先程まで座っていたベンチにも居ない。
とりあえず地に足をつけ、リラに手を貸した。
「炎零さんは?」
出てきたリラも炎零が居ないことに気づいたらしい。
「どこ行ったんだ?トイレか?」
「呼んだか」
ガル達の後ろに探していた人物はすぐに現れた。
だが
「炎零どこに……どうしたんだよその傷」
ガルが見ると炎零の右頬は一本の赤い筋が刻まれてあった。
もう塞がりかけてはいるが。傷は傷だ。痛々しい。
「少し、な」
そう言って何かをガルに投げ渡した。
綺麗に円を描いてガルの手に収まった。
「これ…」
手に収まったのは
紙の束。
「10万ダーツだ」
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