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ガルはふと空を見上げた。
気持ちが良すぎる青い空に黒い点がある。
よく目を凝らしながら見つめていると点は動いている、と気づいた。
落ちているらしくだんだんと大きくなり、風と共に流されて地面に向かう。
近づくにつれガルは恐ろしいことに気づく。
人だ。
その物体が人だと気づいたガルは冷や汗を流して辺りを見回した。
周りの人々はまだガルを囲んで会話を続けている。
どうやら気づいているのは自分だけらしいとガルは確信した。
「ごめんまた後で!!」
理由を説明する暇はないと察し、強引に会話を打ちきって落ちていく方向へと全力で走った。
目を離さないように必死で顔をあげて走る。
鳥一匹飛んでいないのが幸いというやつだろう。
色々なものにつまづきそうになるが目はそらさない。
周りの視線も気にしない。
すると黒い点は村の少し高めの外壁で見えなくなってしまった。
どうやら村の外に落ちたらしい。
力を振り絞りガルは木で出来た大きめの村門を飛び出す。それとほぼ同時に辺りを見回した。
「くそ…」
村の外は荒野となっていて見つけるのに苦労は要らないはずだと思い目を凝らす。
見つけた後のことなんか考えていない。行かなければ。
そんな気がしたから今ここにいる。
……居た。
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