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そこには一本の大きな木があった。
思わず見上げる。
何の木であるかはわからない。
ただ、見る者を魅了する何かが僕の目を惹き付けた。ふと視線を落とす。
綺麗だ
素直にそう思った。
彼女は大きな木のそばにある切株に座って絵を描いていた。
年は同じくらいのようだ。指を動かし、時折顔を上げる。
ただそれだけの動作なのにそれ以上のものが感じられる。
しばらく見ていると、彼女は指を止めた。
こちらの方に顔を向ける。
「どうしたんですか?」
「約束を果たしに」
よくわからないが、自然とそう答えていた。
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