出会い

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そのまま続ける。 「もう顔とか名前さえ覚えていないんだけど、その約束だけは覚えていたから」 「そうなんですか」 ふと、彼女が約束の主なんじゃないか、という考えが頭をよぎる。 「君は誰かとそんな約束した覚えはない?」 「いえ、私は絵を描きに来ただけですから」 「そう・・・」 期待は外れたらしい。 少しだけ落胆する。 「すいません、いらぬ期待をさせてしまって」 「いや、別に気にはしていないから」 「これからどうするんですか?」 「もう少し待つことにするよ。 予定があるわけじゃないしね」 実際今日がその日とも限らないのだが、待っていれば会える、そんな気がしたから。
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