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―――…
キーンコーンカーンコーン
「っしゃあ終わったァ!!」
びくぅっと周りの奴らが振り返るけど、今はそんなの気にしない。
机の横にかけてある筆記用具しか入っていない鞄をつかんで廊下をダッシュ。
ガラガラと勢いよく飛び込んだ空き教室には、誰もいなかった。
「…まだかぁ…」
目当ての人物はまだ来てなくて、近くにあった椅子に腰掛けた。
俺の待ち人は、門田先生。
やったらできるくせに、やる気のない俺をなんとかさせようと門田先生の企画した、この放課後授業。
今の学校生活の中で、唯一にして無二の幸せな時間。
下心がないなんて言い切れないけど、今は門田先生が一緒にいてくれるだけで、幸せなんだ。
『…お、何だ早いな。
やっとやる気が出てきたか?』
「まぁ、そんな感じ?」
音もなく現れた門田先生にドキリとしながらも、平静を装って返事をする。
『じゃ、今日は昨日の続きのこっからな。』
「ういー。」
いつか、振り向いてくれたらって思うけど、告って気まずくなるのは嫌だ。
気まずくなるのは嫌なのに、気づいてくれって思うのはどうなのだろう。
報われない思いでも、いつまでも共にいれたらと、思う自分は情けなくて。
それでも俺が好きなのは、好きになるのは、多分、今もこれからも君しかいない……
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