2人が本棚に入れています
本棚に追加
機内は叫び声や泣き声で充満していた。
キャビンアテンダントの人も顔を手で覆っている。
四方六方「助けてくれ」や「嫌だ」という声しか聞こえてこない。
まるでここは地獄のようだ。
機体はついにバランスを崩し、スピードを上げて頭から下に落ちていく。
もう助からないだろう。
一人の中年の男は隣に座る奥さんであろう女性の手を握った。
女性は涙を流していた。
男はこんな状況の中、奥さんのためだろう…
微笑んで何か言葉をかけた。
女性はハッと顔をあげ、「そうね」と呟いた。
みるみるうちに飛行機は落ちていき、とうとう目の前には真っ青な海が広がった。
狂気の声が上がる中、その二人の夫婦はこう呟いた。
【ありがとう】と…
最初のコメントを投稿しよう!