第一章

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 チャイムの音が鳴り、やっと放課後となる。  俺、【羽田 優】はほとんど空の鞄を手に取ると足早に教室を後にする。  右からも左からも生徒達の楽しそうな声が聞こえてくる。  そんな声を遮るようにiPodのイヤホンを耳にはめる。  イヤホンからはリズミカルに音楽が流れだしている。  毎日歩いている階段。  いっそエスカレーターにしたら、どれだけ楽になる事か。  一年365日の体力の消費量がどれだけ減る事だろう?  いや、あんまり楽すると太るだろうな。  別に気にしないけど。  そんな何気ない事を考えているうちに、気が付くと下駄箱まで来ていた。  靴を取ろうと下駄箱に手をいれようとする。  すると、ヒラッと一枚の手紙が落ちた。 「…またかよ」  落ちてしまった手紙を手に取る。  綺麗な青色の便箋、ご丁寧にはめてあるシールはハート型。  無造作に開く。  内容は、『放課後に体育館の裏に来て下さい』というものだった。
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