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一郎「ちょっと坂下さん! あなたはこんな立派なお寺の和尚でしょ! 毎日手を合わせて拝んでる仏像を石ころみたいに──」
一郎「別に石ころでもいいけど! あなたのために妖怪落としをしてるんです! この三人はこれでも一応真剣なんです!」
坂下「ぐっ…」(言い返せず唸る)
宗慶「桃太郎の言うとおりや。仮に壷がなくたって、俺らはあんたに憑いたモンを落とさにゃならん」
崇慶「で、ときに薫子はどこかしら?」
本堂から物が落ちて割れる音がする。
宗慶「あいつ…やりよったわ……」
坂下「あの娘、まさか護摩(ごま)の祭壇を荒らしてるんじゃないだろうな!」
薫子「おにいたーん! 壷あったよー!」
一郎「えっ!? なんだって!?」
坂下「ば、ばかな! そんなはずは! あれは…」
崇慶「あれは…なんですか?」(にやにやと笑いながら)
薫子、菊の生花が入った壷を持ってくる。
一郎「え? 花瓶…?」
宗慶「せやな、花瓶やなぁ。でもたしかにこれが霊障ですわ。薫子クン、その壷をよォく見せたまえ!」
薫子「はぁーい! ほりゃほりゃ、この壷が目に入らぬかぁ! 入らなーい!」
一郎「入るわけないでしょ…」
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