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一郎「あ、あの足って?」
崇慶「あなた車で来たんやろ? そんで奉納金を滞納してはる。私らはこの依頼を逃すわけにはいかへん。今すぐ下板橋に向かう必要がある」
一郎「まさか……僕に、あなたたちを妙光寺ってところまで送っていけと?」
崇慶「物分りがよろしいな。坊や、お名前は」
一郎「……桃田一郎……です」
薫子「桃太郎?」
一郎「ちがうよ……桃田一郎」
薫子「崇慶おにいたん、このひと桃太郎だって! 鬼退治できる!」
一郎「え、ちょ、できないよっ」
崇慶「私たちに協力しとくれやす。そうすればお金のことは融通をきかせてやってもええよ……桃太郎くん」
一郎「えっ……? ……本当ですか? ってだから僕は桃太郎じゃ……」
崇慶「化丹波(ばけたんば)は──約束を破らないわ」
一郎「化……丹波……?」
一郎(そのとき僕は予想だにしていなかった。のちに起こる大波乱など──)
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