動物は(そこそこ)大切するものだ

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「遅刻だあああ~」 気の抜けたような声を出しながら、いつもの通学路を、いつもより大分遅い時間で超全力疾走(のつもり)で突き進んでいる一人の男がいた。 かっこよく言ったが、俺のことである。 遅刻なんてしたことない(おそらく)この俺が、どうしてこんな時間に韋駄天のごとく突っ走っているか。 あの理不尽女王、早苗様のせいである。 俺は昨日と同じ時間に起きて、昨日と同じように朝飯を作る予定だった。が、 あのゴジラ(みたいなの)が昨日より早く目を覚まし、リビングに足を踏み入れてしまったのだ。 「今日の朝ご飯はー?」 早苗様の起床してからの第一声がこれだ。この声が、俺には怪獣の鳴き声にしか聞こえなかった。 そうだな、ギェェェ~ みたいな感じさ。 そこまでならよかったのだが、朝飯の品数を最低5品に設定されてしまったのだ。 それは無理だと言ったが『あ゙?』の一言 で撤回され、結局作る羽目に。 しかも、時間は大丈夫なんですか?と俺が尋ねたら、早苗様は当たり前のようにこう言った。 「私は車乗っていくから」 『乗せてあげてもいいわよ』の一言も言えない早苗様に、このアンポンタンっと、 走りながら精一杯考えた罵詈雑言を心の中で浴びせつつ、メロス(服着てるver)にでもなった気分で学校への道を急いだ。 「まー」 が、やっぱり邪魔されてしまうのだった。
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