新しい家族

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 覚えいるのは、車が猛スピードで道路を走っていたことと、弟の雷稀が泣き叫んでいたことだけだった。実際自分も叫んでいたに違いなくて、だけど思い出すのが怖かった。  突き破られたガードレールはおかしいな方向にぐにゃと曲がり、下の海からは白い煙と赤い火が空へ空へと舞い上がっていた。それくらいの記憶しか頭になくて、どうしてそうなったのかもわからない。サービスエリアに取り残された俺と雷稀は、車がどんどん遠ざかって行くのをただただ、見つめることしか出来なくて。どんなに叫んでも、どんなに泣いても、両親は戻った来ることはなく、そのままガードレールに突っ込んで海へ転落した。
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